クリニックには専用の就業規則が必要か?

就業規則は一つだけ?

就業規則というと、そういう名前の規程が一つだけあるような
イメージを持たれることが多いようです。
でも、実はちょっと違います。

就業規則というのは、
その名のとおり「就業における規則」の総称なので、
それを一つの規程としてまとめてもいいし、
内容や対象者によって小分けにしてもいいわけです。

「育児介護休業規程」とか「賃金規程」とか、
○○規程という名前を聞くことがありますよね。
これらも就業規則の一種です。

だから、就業規則の数は一つと決まっているわけではないし、
1個だけの場合もあれば、10個つくる場合もあります。
「○○規程」が複数集まって就業規則というまとまりになる、
というイメージが一番近いと思います。

クリニックには専用の就業規則が必要か?

就業規則は一つでも複数に小分けしてもよいとお話しましたが、
クリニックの場合はどのような形態がよいでしょうか?

インターネットによくある一般的な雛形をそのまま活用すればよいのでしょうか?

実際にはクリニックの実情やお客様のご要望に合わせてアレンジしますが、
弊所では、次のように小分けにして規程をつくる場合が多いです。

【クリニック向け就業規則の例(医科の場合)】

・正職員用就業規則(無期雇用の常勤スタッフ向けの基本規程)
・正職員用賃金規程(無期雇用の常勤スタッフ向けの賃金規程)
・パート職員・有期雇用職員・非常勤医師職員用就業規則(無期雇用常勤スタッフ以外の職員向け基本規程)
・パート職員・有期雇用職員・非常勤医師職員用賃金規程(無期雇用常勤スタッフ以外の職員向け賃金規程)
・育児介護休業規程(全職員が対象)
・ハラスメント防止規程(全職員が対象)
・退職金規程(退職金制度がある場合)
・マイカー通勤規程(自家用車で通勤するスタッフがいる場合)など

分院があればその分を別につくることもありますし、
ドクター用の規程を追加することもあります。

「そんなにたくさん必要なの!?」と、思われましたか?
もちろん、これだけの数が絶対に必要というわけではありません。
スタッフの状況から判断して、
種類を減らしてシンプルにまとめた方が良い場合はそうすることもあります。

しかし、クリニックは一般企業と異なり、スタッフの働き方がとても多様です。
常勤とパートの違いもあれば、
看護師、歯科衛生士、言語聴覚士、理学療法士などの専門職が
事務職と異なる働き方をしている場合もあります。
院長先生が「常勤スタッフ」とひとまとめに呼んでいても、
雇用契約書をよく見ると無期雇用の人と有期雇用の人が混在していることもあります。
さらにドクターを雇用されている場合は、
人によって労働条件が大きく違っていることもよくあるでしょう。

それらをまとめて一つの規程に無理やり当てはめると、
思ってもみないトラブルを生んでしまうことがあります。
常勤の事務スタッフのために用意した休職規定が、
一年契約で週に一度しか来ない言語聴覚士のスタッフから権利として要求されてしまった、
なんてことが起こる場合もあるのです。

したがって、作成するときはちょっと面倒でも、
スタッフの多様な働き方に対応した規程をこまめにつくる方が後々のトラブル防止につながります。
こういうことは、一般的な業種の企業を対象とした雛形をそのまま使っていては対応できません。

だから、クリニックにはクリニック専用の就業規則が必要なのです。


当事務所では、他院での実施事例をもとに各院に応じた制度設計をご提案し、
クリニックに適した就業規則の作成・届出から日々の運用に至るまで総合的にサポートしております。
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