年次有給休暇の管理と運用

クリニックにおける年次有給休暇の管理と運用

医療機関では特に、年次有給休暇の整備が遅れているように感じます。
パート職員が多いという特徴が影響しているのかもしれません。
「うちのクリニックは有給休暇をくれない」と不満をつぶやくスタッフ。
年次有給休暇を管理できていないことが原因で、優秀な職員が他院へ移るということもしばしば起こっています。

先生方のクリニックでは、こんな悪循環に陥っていませんか?

年次有給休暇を取らせていない
⇒スタッフが不信感を募らせる
⇒離職率が上がる
⇒優秀なスタッフが残らず、経営に悪影響が及ぶ

■年次有給休暇は誰のもの?

年次有給休暇は、労働基準法で認められた労働者の権利です。
その権利は、「6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤」すれば「当然に」従業員に発生します(労基法39条1項)。
つまり、従業員が「有給休暇を下さい」と請求しなくとも、自然発生的に権利が生まれます。
また、院長先生の方から与えて初めて権利が発生するものでもありません。

そして年休は、「労働者の請求する時季に与えなければならない」(同条5項)ため、いつ休むかは従業員が原則自由に指定できることとなります。
ただし、その日にその人が休むことによりクリニックの正常な運営を妨げられるような場合には、院長先生の方から「別の日にしてくれ」と変更することは可能です(これを使用者の時季変更権といいます)。

■クリニックの負担少なく年休消化してもらうには

従業員が自由に取れるといっても、医院の都合で「できればこの時季にまとまって休みを取ってほしい」と思うこともあるでしょう。
そのような場合は、労使協定により「年次有給休暇の計画的付与」の定めをすることで、院長先生の希望する時季に年休を取ってもらうことも可能です。
耳鼻咽喉科や皮膚科のように繁忙期と閑散期がはっきりしている場合は、夏季や年末年始などの休診期間に計画的付与されるのも1つですね。
そのように医院の負担少なく、計画的に年休を消化されているクリニックも増えてきました。

なお、計画的に年休を付与できるのは5日を超える年休日に限ります。
年休は本来、労働者が自由に取るものなので、年に5日くらいは従業員が個人的使用のため取るべきだからです。

■パート職員に年次有給休暇を与えなくてもよい?

しばしば院長先生から、「パート職員には年次有給休暇を与えなくてもいいよね?」と聞かれることがあります。
いえいえ、パート職員にも年次有給休暇の権利は発生します。

パートタイム労働者は、所定労働日数により年休の付与日数が変わります。

1) 所定労働日数が週4日ないし年216日を超える労働者、または週4日以下でも所定労働時間が週30時間以上の労働者
⇒通常の労働者(いわゆる正職員)と同じ日数(図1)

2) 週4日以下・週30時間未満の労働者または年216日以下の労働者
⇒週所定労働日数により別途日数の定めあり(図2)

常勤職員には年次有給休暇を取らせているけどパート職員には取得させていない、という話をよく聞きますが、それは法に反することになりますので、ご注意ください。

■年間5日は年次有給休暇を取得させることが、使用者に義務づけられました

平成30年に成立した働き方改革関連法により労働基準法が改正され、「10日以上の年次有給休暇が付与される労働者」に対し「年間5日」は時季を指定して与えなければならないこととされました(平成31年4月1日より施行されています)。
これは使用者である院長先生の義務となります。

ただし、従業員が自ら取得し、または前述の計画的付与により取得された年次有給休暇の日数分については、5日の年休日数から控除して構いません。
つまり、すでに5日以上取得した従業員については、院長先生から時季指定して年休を取得させる必要はありません。

また、同様に労規則改正により、使用者は、労働者ごとの年次有給休暇の時季・日数・基準日を明らかにした書類(「年次有給休暇管理簿」)を作成し、3年間保存することも義務づけられました(労規則24条の7)。

年次有給休暇の消化率がなかなか伸びない現状を危惧し、何とか取得させようという国の意気込みを感じます。
この件は各メディアで大きく報道されましたので、スタッフの皆様もよくご存知です。
これまでうやむやにしてきた年次有給休暇、これからはもう逃れられません。

■年次有給休暇の付与日数

最後に、年次有給休暇の付与日数を図示いたします。
(厚生労働省リーフレットhttps://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdfより引用)

(図1)【原則となる付与日数】(常勤職員や一部のパート職員)

(図2)【パートタイム労働者など所定労働日数の少ない労働者に対する付与日数】

(※太枠で囲まれた部分は、年5日時季指定義務の対象となる労働者を示しています。)

■年次有給休暇の管理・運用をサポートいたします

年次有給休暇については世間の関心が高く、スタッフ定着率にも影響します。
また、使用者による年休の時季指定に関しては、就業規則での定めが必要です(休暇に関する事項は就業規則に定めなければなりません)。
年次有給休暇の整備と併せて就業規則を充実させることで、先生方もスタッフの皆様も安心して診療を行える体制が確保され、結果として患者さんの満足度が向上しクリニックの発展へと繋がってゆきます。
当事務所では、他院での実施事例をもとに、各院に応じた制度設計を行っております。
まずはお気軽にご相談ください(全国対応しています)。

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